大好きな詩人、長田弘さんの詩をご紹介します。私はこの方の名前を夢の中ではじめて聞き、それからどんな方なのかと調べ、詩人であることを知り、詩集を買い求めました。以来、この方のファンになりました。詩集は何冊も持っています。偶然でしょうか、同郷の出身の方でした。

ホメオパシーという言葉も、ある日突然天からひらめくように降ってきた言葉でした。それからどんなものなのかと調べはじめ、数日後にはホメオパシーの専門家になることを決め、学校に入学手続きをとりました。

人生には、こんな不思議で唐突な閃きと導きがときどきあるようです。

聴くこと

土が語ることば。泥が語ることば。
空のひろがりが語ることば。石が語ることば。
遠くの丘が語ることば。巻雲が語ることば。

蜂が語ることば。老いた樹皮が語ることば。
バッタが語ることば。シャクナゲが語ることば。
昼には、川が、夜には、大熊座が語ることば。

耳かたむけるのだ。大事なことは、
見ることではなく、聴くことなのだと思う。
誰のためでもなく、誰のものでもないことば。

眼で聴く。そして、耳で見るのだ。
けっして語ることをしないものらが語ることば。
どこにもない傷口から流れだすことば。

『黙されたことば』(みすず書房 長田弘著)より