一冊の本をご紹介します。もう、絶版になっていますが。
『空の匂い、海の息吹』(レベッカ・レイノルズ著・翔泳社)
以下はAmazonからの転記です。
「生まれながらにしてHIVキャリアの子ども、受刑者、虐待を受けた子どもや女性…。これらの人々がいる場所を訪れ、季節ごとの自然美を人々と享受するのがAAI(アニマルズ・アズ・インターミディアリーズ)の仕事である。さまざまな動植物や自然のオブジェに触れることで、心を閉ざしている人々が、遠い日の記憶や人間本来の自然の感覚を取り戻してゆく。本書は、AAIが人と自然の絆を深める過程で人間の無限の可能性に直面した、奇跡の物語である」
この本に書かれている真実は、まさに私のセラピーに対する考え方・原点そのものです。自然の中に存在する人間以外のものたちに触れることでもたらされる癒しは、どんなに優れたセラピストによるセラピーでも足元にも及ばないほど、大きく深いものです。このときのセラピー場所は地球自体であり、セラピストは人以外の生命たちです。
野生の動物たち・家で共に暮らす犬や猫たち・樹木・星・ひとつの石・薄い貝殻、etc・・・それらが呼び覚ましてくれるのは、遠い記憶だったり、心の奥に閉じこめてきた様々な感情や感覚だったりします。自然の中で暮らし、そうしたものたちが伝えてくれる様々な言葉を聞けるよう、心の窓を開けておくと、自然自体がとてつもなく大きなセラピストだということが明確にわかってくるものです。
ヒプノセラピーもホメオパシーも、本来は、人には必要ないものかもしれません。このふたつのセラピーを構成する大元は、自然の中に有り余るほどに存在しているからです。メンタルに作用する要素もフィジカルに作用する要素も、すべてです。私はホメオパスでもありますが、よほどのことがない限り、今ではレメディをほとんど摂りません。一年に数粒摂るか摂らないか、という程度です。もっとも、薬も摂りませんが。ヒプノは潜在意識にまっすぐに入ってゆくセラピーですが、元々、人は、自然のものに触れるだけで、自分の潜在意識にアクセスできる能力を持っていたはずだと感じています。いいえ、自分以外の生命の持つそれをも、感じることができたのではないでしょうか。
「大地の美を愛でれば、そこに命ある限り続く力の源を見出せる。
渡り鳥、潮の満ち引き、春を待つかたいつぼみ。
目に見えるその美のほかに、そこには信じられる何かがある。
夜が来れば夜明けが訪れ、冬が終われば春がやってくる。
――自然の反復には、無限の癒しがある。」
『The Sense of Wonder』(レイチェル・カーソン)